762回の筆さばきに託されたもの

30人もの手を経て出来上がるロイヤル コペンハーゲンの陶磁器。原料の陶土を採取することに始まり、成型、絵付け、焼成、釉薬、そして美しく箱詰めされるひとつひとつの過程が、30人によって手渡され、ひとつのカップやプレートがあなたのもとに届きます。それは旅ともいえる過程です。目を閉じて、真っ白な陶磁器の土の匂い思い浮かべてみてください。そして陶磁器が創られていく全ての工程、気高いまでのクラフツマンシップの漲る手仕事の全てを、ひとつひとつ辿ってみてください。構想し、意匠し、そして造型するーそれは240年に及ぶクラフツマンシップと伝統がささえる旅なのです。

デザインのプロセス

ロイヤルコペンハーゲンの新しい製品についてのアイデアは、様々なものからヒントを得ます。デザインは独特の進化のプロセスをへて、ときには何百年もの歴史を経て現代に遺されてきたデザインにもインスピレーションを受けて創られます。
しかしながら、素晴らしいアイデアだけで製品ができるというものではありません。コンセプトから最後の装飾に至るまで、すべての開発過程を通じて、デザイナーとアーティストがクリエイティブな共同作業を行うことによって、はじめて新たな息吹がこめられるのです。
生活に新しい考え方をもたらすことができるかどうか。それもまた、ロイヤル コペンハーゲンの商品が試される面であり、その過程で多くのものが、世に送り出すことはできないとされています。だからこそ、世に出た商品は、最高のクラフツマンシップに導かれ、形になったものたちだと言えるのです。

最初のアイデア
デザイナー/アーティストがアイデアを出し、それをスケッチしたり、あるいはかたちにしていきます。 これからの長い旅の第一歩として、この最初のかたちが入念に考えられ、提案されていきます。

造形する
それからスケッチはコンピューター上で3Dのモデルが作られ、そのデザインから、繊細な最初のモデルが3Dプリンターで作られます。この3D印刷のプロセスでは、最大1日かかる場合もありますが、磁器の極薄い層が折り重ねられ、最終的にひとつのフォームへと形づくられていきます。

フォームの形成
手作業による微調整。不整や欠陥を削り取って鋳型を作るのは、人の手です。最も熟練し、知識のある鋳型製作者でさえもこのプロセスには長ければ1か月かかります。これらの、些細な細部、波形、縁模様を仕上げていくには時間、忍耐、そして動きが安定した手が必要です…

オリジナル モデル
もともとの鋳型は、長ければ3日もかかるプロセスでコンピュータ制御のフライス盤によって、この最初のモデルから成形されます。

液体陶材
成型の段階では、液体陶材が乾燥鋳型に注意深く注がれます。この鋳型は外壁が陶材の余分な水分を吸収し、外側がある一定の厚さになると、余分な液体陶材が流し捨てられます。

新しく成型された製品
新しい製品が鋳型から外されると、接合部分やかどはすべて取り除かれ、きれいに磨かれます。

型の仕上げ
この時点では磁器はまだかなり湿っていて壊れやすい状態にあり、、取っ手や装飾品を取り付けたり、微調整を加えたりするのに適した状態にあります。乾燥や焼成の前に素早く細部を仕上げていくには、しっかりと安定した技術が必要です。

慎重に仕上げる

ロイヤル コペンハーゲン ブルー
ロイヤルコペンハーゲンを代表するコバルトブルーの顔料は、かなりの高温に耐えることができるので、最後の施釉や最後の焼成前に絵付けを行えます。こうしたプロセスのため、ブルーの色や、ブルーペイントの商品はより丈夫になり、食器洗浄機にも使用できるようになります。

磁器への絵付け
最初の焼成の後、磁器は表面が多孔質に変成するため、吸収性が高く、脆い状態のままです。この時がまさにペインターが磁器に絵付けをする作業を開始する時なのです。牛の耳やトナカイの腹部からとった繊細な繊維で作った筆を使って、ペインターはロイヤル コペンハーゲンのクラフツマンシップの特徴を顕すしなやかなライン、花、その他のパターンを注意深く丹念に描くのです。

施釉
この後、薄いライトブルーの釉薬を施します。まさにこの釉薬こそが、磁器粘土と反応して、ロイヤル コペンハーゲンのそれぞれの美しさと全体像を強調する、薄く艶やかな層を作り出すのです。

磁器の焼成
現在焼成は摂氏約1,375度で行われ、大きさが最大14%も縮小するプロセスに向かいます。この最終焼成中に多くの製品が壊れてしまいます。このステップの後で、5ピースのうち1ピースは、不良として除外されてしまう製品が発生します。

完成
この長いプロセスを経て、製品が完成します。それはわずか数ヶ月、とも言えるかも知れませんが、ロイヤル コペンハーゲンが240年以上にわたり培ってきたクラフツマンシップそのものとも言えるものです。ロイヤル コペンハーゲンのテーブルウェアを手にすること、それはすなわち、デンマークの歴史のひとかけらを、デンマークの工芸とデザインそのものを手に入れることでもあるのです。

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