パターンNo.1 - その歩み

240年以上の歳月を経た現在、ブルーフルーテッド プレインは、ただディナーサービスのデザインの名を指すものではなくなりました。書きとめられた言葉のように、ハンドペイントで描かれたブルーのラインは、その物語を語ります。ブルーフルーテッドの歩んできた歴史。華やかな宴と喜びを待ち望む心。ゲストが美しくセッティングされたテーブルを称賛し、またそこにいる自分がまた賞賛されていると感じること。そして、あなたを愛する人々にとって、それに勝る素晴らしいことはないということを。

240年以上にわたり、その滑らかな筆づかいが、ロイヤル コペンハーゲンのパターンの心に沁みいるような美しさを伝えてきました。パターンは何度も見直されては描かれてきました。これまでにない姿で、色で試されてきました。そのたび、原型のパターンに立ち戻り、伝統に頭を垂れて甦ってきた品々。ご自身の手で、この歴史のひとかけらを包み込み、細部に宿るその美を感じる一瞬を、過ごしてみてください。

パターンNo. 1 - デンマークの歴史のひとこま
物語は1775年に始まります。ヨーロッパ、特にドイツのマイセンでは、ブルーのハンドペイントのパターンが圧倒的に多い中国に学んで、陶磁器の製造と装飾が始まりました。中国は磁器の製造の発祥地で、その輸出によって、財を築き、洗練された審美眼を持つようになり、磁器そのものが貴重なものとなりました。
ロイヤル コペンハーゲンの歴史の早い段階で、中国の影響を受けたパターンはできる限り単純化され、ロイヤル コペンハーゲンを代表するブルーフルーテッド プレインのデザインに変容していきました。それはロイヤル コペンハーゲンが最初にものしたデザインだったため、デコレーション番号”パターンNo.1”と呼ばれるようになりました。今日に至るまで、ブルーフルーテッド プレインのひとつひとつの裏には数字の”1”が描かれています。

ホワイトゴールド
1700年代の初頭、マイセンはヨーロッパで唯一の磁器メーカーでした。当時、磁器は、”ホワイト ゴールド”と考えられ、その製造の秘密を発見する競争は激しく、裕福な投資家がしばしば危険な取り組みをする科学者や錬金術師を支援しました。
この競争は、ザクセン選帝侯 アウグストⅡ世が、金を作ることができると主張した一人の男を捕らえた1710年に、マイセンで終わりを告げます。最終的に、強制されて、この「錬金術師」はマイセンの工場で磁器を製造しました。マイセンは、フランツ ハインリッヒ ミュラーがコペンハーゲンで苦労の末に磁器を製造した1774年まで、その技術を独占していました。ミュラーは、老練な鉱物学者で、彼が実験を行った研究所は、今日のロイヤルコペンハーゲンの本店から近しいコペンハーゲンのアマトー広場にありました。

その名の由来
もともと、ブルーフルーテッド プレインという名前は、デンマーク語で「二枚貝に描いた」という意味の”Musselmalet”です。フルーテッド(溝彫り)の形状が、貝や貝殻を連想させるからだとも言われていますが、実際には、図案化された菊やキジムシロのモチーフに基づいています。この上品なデザイン、独特なブルーの色、そしてこのフルーティングが一緒になって、長きにわたってデンマークの代名詞となるディナーウェアを作り出すのです。

ブルーフルーテッド プレインは、発表以来進化をつづけてきましたが、常に、根本的な特徴は変わりませんでした。ミレニアムの節目に、ロイヤル コペンハーゲンは新しい時代に突入し、大切に保存されてきたパターンはいくつかの点で刷新されました。今までの図案化された花は取り除かれ、新しい色とコンテクストのものに差し替えられました。棕櫚のあしらわれたアーチが新しい物語を語りはじめました。ブランドの過去の遺産にとらわれるのではなく、伝統に素直な畏敬を捧げる若い、大胆なデザイナーが、古くからのパターンをエレガントに打ち破り始めたのです。

ブルーフルーテッドプレインのブロック。 終わりのないインスピレーション。
当時、菊の花は中国ではとても人気のあるモチーフで、ヨーロッパでは当初から陶磁器のデザインに使われていました。ブルーフルーテッド プレインが進化するにつれて、図案化された菊はシンプルな形になり、キジムシロ(ノルディック地方原産の植物)はその隣で育っていきました。

磁器の絵付けスタジオでは、次の用語が使用されています。菊は、上品な花として知られており、キジムシロは、丸い花と呼ばれています。デコレーションは3つに分けることができ、ナッツフラワーと呼ばれる3番目の花があります。その花のツルは、パルメッテヤシと同様、図案化された葉、「スイング」として知られています。花の小さな葉は、堅く短い毛やたてがみと呼ばれています。ブルーフルーテッド プレインシリーズの円の上に描かれた草むらは光線と呼ばれています。縁には、区切り線の終わりに、「舌状のもの」がつきます。

ハンドペイントの芸術
ブルーフルーテッド プレインのテーブルウェアと関連のシリーズはすべて現在でも注意深く慎重に手作業でペイントされています。開窯当時、熟練したペインターを見つけることは困難でした。工場を開設した後、デンマークの外交官オーガスト・ ヘニングスは、有名なマイセンの磁器工場から5人のペインターをコペンハーゲンに働きに来るように説得しました。しかし、それは計画通りに進まず、当局は彼らがマイセンから出ていくのをやめさせようとしました。最終的に彼らが実際にコペンハーゲンに到着した時、ザクセンの特使が派遣され、画家のうち2名が強制的にマイセンにつれて帰られたということもありました。

愛、そして情熱
設立にまつわる物語

デザイン、クラフツマンシップ、
そして伝統の240年

パターンNo.1 -
その歩み

職人の手わざの証

The art of
handpainting