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3daysofdesignで、250年の歴史、そして新たな未来を描く 「Still Making Waves」を開催。

ブランドにとってアニバーサリーイヤーとなる今年、デンマークの首都コペンハーゲンで行われたデザインの祭典「3daysofdesign」(スリー デイズ オブ デザイン)にあわせ、これまでブランドの豊かな歴史とタイムレスなアート性、そして長年大切にしてきたクラフツマンシップに敬意を示すエキシビジョン「Still Making Waves」を行いました。

コペンハーゲンの中心部に掲げられた3daysofdesignのフラッグ。今年は3日間とも快晴で、初夏のような過ごしやすさに。
毎年6月に開催される「3daysofdesign」は、今年12回目を迎えた、国際的にも注目度が高まるデザインイベント。今年、「世界で最も住みやすい都市」ランキングで1位に選ばれた街・コペンハーゲンに、最新のデザインやインテリアなどのカルチャーやトレンドを求め、世界中から感度の高い人々が集結します。ロイヤル コペンハーゲンのクリエイティブディレクターであるヤスパー・ニールセンはこのイベントについて、「最初はデンマークブランドが多かったのですが、回を重ねるにつれ、どんどん国際的なブランドが参加するようになっています。世界中からデザインやライフスタイルに興味のある人々をコペンハーゲンに招待できるのは、本当にエキサイティングなことですよね」と話します。

ロイヤル コペンハーゲンのクリエイティブディレクター、ヤスパー・トロン・ニールセン。
ロイヤル コペンハーゲンは、昨年リニューアルしたフラッグシップストアを舞台に、新しいインテリアコレクションKontur<コントゥール>の発表や、熟練の職人たちによるペインティングデモンストレーション、クリエイティブディレクターによるデザイントーク、期間限定のカフェ、デンマーク人の気鋭アーティストとのコラボレーションコレクションの展示、ペインティングを実際に体験できるワークショップなど、250年の歴史を振り返りながら、クラフツマンシップが導く新たな未来を提示しました。

フローラ ダニカのデモンストレーション。職人がひとつひとつ、フローラ ダニカ植物図鑑をもとに植物の絵を描いていく姿にみな釘付けに。

3daysofdesignの期間中、フラッグシップストアの中庭に限定のカフェがオープン。ロイヤル コペンハーゲンの新作「モチーフ」のマグを使ってドリンクがサーブされた。

実際に使用するブルーの顔料と筆を使い、ペインティングを体験できるワークショップ。
「ブルーフルーテッド」が250年愛され続ける理由

ロイヤル コペンハーゲンのペインターとして50年ほどのキャリアを誇るヘレ。ペインターによるデモンストレーションに、多くの人が足を止め、その職人技にじっくりと目を向ける光景が。
「3daysofdesign」の期間中、店頭で「ブルーフルーテッド フルレース」のペインティングのデモンストレーションをおこなっていた職人のひとり、ヘレは、ペインター歴約50年を誇る大ベテランです。目の前でその卓越した手捌きを見ていると、繊細に描かれる一本一本の青い線に込められたブランドへの愛、職人としてのこだわり……仕上げていくアイテムひとつひとつに愛おしささえ感じます。

素焼きをしたベースに下書きをせず、フリーハンドで1本1本青の顔料で線を美しく手際よく描いていく姿はまさに職人技。
デンマークデザインの象徴とも言える「ブルーフルーテッド プレイン」。250年続くこのパターンは、「パターンN0.1」と呼ばれ、デンマークの文化や歴史を象徴するもの。今もなお、職人の手仕事によってひとつずつ丁寧に描かれています。
クリエイティブディレクターのヤスパーは、ブルーフルーテッド プレインのエピソードを教えてくれました。
「パターンNo.1は、デンマーク人にとって故郷を思い出すような、ずっと心に残っているもの。この柄と一緒に成長してきたし、母から、あるいは祖母から継承されてきたものが家にはずっとあって、デンマークの文化、歴史を象徴するものだと思っています。個人的な経験としても、若い頃にロンドンやパリへ引っ越したとき、デンマークに帰るたびに必ずパターンNo.1のアイテムをひとつ購入して持ち帰っていました。デンマーク人にとって故郷を思い出す愛着のあるもの……そんな気持ちにさせてくれる大切なデザインなんです」。

デザインミュージアムの学芸員マレーネさんがポケットからふと取り出した、昔から大切にしているブルーフルーテッド ハーフレースのジャグ。ブルーフルーテッドは、デンマーク人にとって故郷を思い出す愛着のある柄。
シンプルでいて、エレガント。決して流行を追いかけるものではなく、永遠に使えるのに、どのコレクションとも組み合わせを楽しめる。まさにロングライフデザインとして、豊かな暮らし、豊かな食卓を彩るコレクションと言えるでしょう。
新コレクションKontur<コントゥール>に宿る、日本の美意識

3daysofdesignで発表された、コントゥールの展示風景。ブルーの濃淡のコントラストが海や波の有機的な美しさを再現。(ランプはデンマーク限定アイテム)
250周年を記念して、「3daysofdesign」でお披露目された新たなインテリアコレクションKontur<コントゥール>。ロイヤル コペンハーゲンが大切にしている海、そして波のリズムにインスピレーションを得たデザインは、ラインナップされたベース、ディッシュ、ボンボニエール(小物入れ)ともに遊び心のあるフォルムが印象的な、ブランドの新境地となるコレクションです。
このコレクションの美しさを際立たせているのが、ブルーのグラデーション。100年以上にわたり、ロイヤル コペンハーゲンの伝統となっているハンドスプレー技法を使い、職人の手作業によってひとつひとつ、この奥行きのあるブルーの色彩を生み出しています。

3daysofdesignで発表された、コントゥール。フラッグシップストアの中心に、巨大なベースのオブジェが展示された。
じつはこの技法、100年以上も前、当時のロイヤル コペンハーゲンのクリエイティブディレクターが日本を訪れた際に、日本の職人たちの顔料の塗り方や技法に感銘を受け、それを独自の技法として昇華させたもの。小さなスプレーツールをつかい、顔料を何層にも塗り、削り、さらに何層も重ねて美しい形、絵になるまで繰り返すという手間暇のかかる工程……。じつは毎年登場するイヤープレートにもこの技法が使われおり、現在のロイヤル コペンハーゲンのストーリーを語る上で欠かせない大切なテクニックとも言えます。

ファクトリーでのワンシーン。壁にかかっているのが、イヤープレートの一部。1908年に初年度版が作られてから現在まで、100年以上に渡り、デンマークのさまざまなシーンを描き続け、毎年制作され人気を博している。
「機能的でありながら美しさもある、目立ちすぎずにさりげなく暮らしに溶け込む、というシンプリシティが、日本とデンマークのデザインの共通点だと思います。自然に敬意を払うこと、自然と暮らしが密接であるという美意識もありますよね」と、クリエイティブディレクターのヤスパーも、デンマークと日本とのデザインの親和性について興味深いと話します。Kontur<コントゥール>をはじめ、ロイヤル コペンハーゲンのアイテムが日本の食卓、インテリアにも心地よくフィットする理由も、デンマークと日本の共通した美意識があること、そして日本の古き良き美意識やDNAが息づいているからなのかもしれません。
「過去を振り返りながら、未来に進む」。 250年のアーカイブを再解釈し、現代の暮らしに新たな豊かさを。

コペンハーゲン郊外に位置するファクトリー。緑に囲まれた静かな環境で日々クリエイティブなものづくりが行われている。
コペンハーゲン市内から車で30分ほどの場所にある、ロイヤル コペンハーゲンのファクトリー。ここでは、デザインチームとクラフトマン、そしてペインターが一堂に会し、3つのチームが協業しながら、日々新たなロイヤル コペンハーゲンのクリエイティブを生み出しています。

フローラ ダニカのペインターたち。

1898年パリの万国博覧会で最初の作品が発表されたフィギュリンは、現在も熟練の職人によるクラフツマンシップが息づくアイテム。
デンマーク王室の公式晩餐会の食器として使われるロイヤル コペンハーゲンの最高峰コレクション「フローラ ダニカ」。18世紀から19世紀にかけて出版されたデンマークに自生する植物が掲載された植物図鑑『フローラダニカ』をお手本に、その図鑑にある植物を描く特別なコレクションを担当できるのは、このファクトリーに所属する限られた熟練の職人たちのみ。1点1点手作業で描く姿は、まさに職人技。その卓越した手作業から生まれるものは、まさにアートピースと呼びたくなるほどの芸術性を誇ります。

ファクトリーに保管される植物図鑑『フローラダニカ』のオリジナル。1761年から1883年にかけて出版され、約3240枚の銅版画を収録している。

限られた職人のみが担当することができるフローラ ダニカは、職人の丁寧なこだわりと技術が詰まっているアートピース。
一方、「新しいものをつくる、未来に進む時には、過去を振り返ることが大切」と、クリエイティブディレクターのヤスパーはいいます。250年という歴史を誇るロイヤル コペンハーゲンには、美しく圧倒的なアーカイブがあり、現在、南ユトランド地方にある「Koldinghus(コリング宮殿)」に、フローラ ダニカのコレクションは寄贈されています。

ファクトリーに保管されている、過去に作られた、細かなピースや型のアーカイブ。これらもきちんと保管され、時に新たなピースとして生まれ変わる。
ロイヤル コペンハーゲンが250年ものあいだ大切にしてきた、クラフツマンシップとデザインの両立。未来に進むために、この膨大な美しいアーカイブを振り返り、デザイナーとクラフツマンたちが現代にフィットする形で再解釈し、新たなコレクションをさまざまな職人たちの手を通してこのファクトリーから生み出し続けています。

細かい手作業が必要な「エメラルドグリーンフルーテッド フルレース」のコレクション。釉薬の上に絵付をする難しい技術が必要なため、フローラ ダニカ同様、熟練の職人たちが丁寧に仕上げている。
たとえば2024年に登場した「エメラルドグリーンフルーテッド」、そして今年登場した「パープルフルーテッド」のコレクションも、じつは1880年代のアーカイブを振り返り、ポーセリン作品の初期に存在した貴重なカラーを蘇らせたもの。オーバーグレイズという、釉薬の上にさらに色付けをする難しい技術を要する手法から生まれる優美でラグジュアリーな世界観は、すべて職人の手によって生み出されているのです。

「エメラルドグリーンフルーテッド」と同様、釉薬の上に絵付をする難しい技術を用いる「パープルフルーテッド」。
歴史、生活様式、食習慣など、さまざまなバックグランドからもたらされた250年の膨大なアーカイブがあるからこそどこにもない唯一無二のコレクションが生まれたのでしょう。
人と人を繋ぐ、ロイヤル コペンハーゲンのうつわがもたらす 心が豊かになる食卓のアイディア





人と人とのつながりを何よりも大切にし、心穏やかに、心地よく日々を重ねていく──
そんなデンマーク人の食を通じたおもてなしの精神は、ロイヤル コペンハーゲンのアイテムひとつひとつにも、静かに息づいています。暮らしへのまなざし、生き方へのこだわり、ものづくりに込める誠実さ。そのすべてが織りなすのは、クラフツマンシップという名の、目に見えない豊かさなのかもしれません。
ロイヤル コペンハーゲンで 暮らしにあたたかみと、新たな豊かさを。

